トピックス調査

「子どもと生成AI」調査
生成AIについてどう思う?

「生成AIで勉強のしかたはかわると思う」小中学生*1は55.7%*2
生成AIを使うと「すきなことや興味のあることにくわしくなりそう」が7割*2 。 宿題利用よりも興味や創作活動を深めるツールとしての期待が高い。

*1 小学生=4〜6年生(以下同様)
*2 生成AI認知者ベース(以下同様)

今回は、「生成AI」の認知や利用状況、イメージについて、子どもたちに聞きました。
生成AIの認知率は全体の8割*3 で、使用経験率は全体の4割でした。
「『生成AI』があることで勉強のしかたはかわると思う」のは55.7%*2 。生成AIを「知っている」と回答した小中学生のうち半数以上が、生成AIは勉強のしかたに何かしらの影響があると感じていました。
生成AIを使用することに対しては、「すきなことや興味のあることにくわしくなりそう(68.0%)」「工作やイラスト、創作活動でよりよいものが作れそう(58.9%)」 *2など、興味分野や創作活動を拡張するツールとポジティブに捉えていました。

*3 事前に生成AIの説明を読んでから回答。詳細は文末を参照(以下同様)
 
 

Findingsの【 】内はベースとなる回答者

【全体】小中学生の生成AIの認知率は8割。使用経験があるのは4割。6割が「今後(も)使うと思う」。

  • 生成AIを「知っていて、どんなことができるかわかる」「知っていたが、どんなことができるかわからない」を合わせた認知率は8割*3
  • 「よく使っている」「たまに使っている」「使ったことはあるが、今は使っていない」を合わせた使用経験率は全体の4割。
  • 今後(も)生成AIを使うかどうか聞いたところ、「使うと思う」「たぶん使うと思う」を合わせた使用意向あり計は6割。
  • 小学生よりも中学生の方が認知率、使用経験率ともに高く、中学生の使用経験者は半数近く。使用意向率は小学生の方が中学生よりもわずかに高い値でした。

    【認知者】生成AIを使うと「すきなことや興味のあることにくわしくなりそう」が7割。興味分野や創作活動を深めるツールとしての期待が「宿題がらくになりそう(54.8%)」より高い。

  • 生成AI認知者に、生成AIの使用は自分自身にどのような影響があると思うか、それぞれの項目について聞いた質問で、〈そう思う〉のトップ3は、「すきなことや興味のあることにくわしくなりそう(68.0%)」「新しいことを体験できそう(63.2%)」「デジタルやコンピューターにくわしくなりそう(60.6%)」で6割を超えました。
  • 続いて、「工作やイラストなど、創作活動でよりよいものが作れそう(58.9%)」 「宿題がらくになりそう(54.8%)」。
  • 興味分野を探求したり、創作活動をより良いものに拡張するためのツールとしての期待が、宿題利用より高い結果になりました。
  • 一方で、「自分で考えなくなりそう」も4割ほど存在し、生成AIという新しい技術に不安と期待が混在している様子も見られました。

    【認知者】生成AIのイメージは「楽しい」8割、「味方」7割。一方で、「安心な」「信用できる」は半数を下回る。

  • 生成AI認知者に、生成AIについての考えを聞いたところ、「楽しい」が80.1%、「味方」が73.2%と高い値でした。
  • しかし、「優しい」「安心な」「信用できる」といった項目は半数を下回りました。
  • 「優しい⇔こわい」「安心な⇔心配な」「信用できる⇔信用できない」では、4割弱が「どちらともいえない/わからない」と回答していることから、生成AIの安全性や信頼性についてはまだ判断がつかない段階にあるとも見てとれます。

    【認知者】「『生成AI』があることで勉強のしかたはかわると思う」のは55.7%。

  • 生成AIがあることで勉強のしかたはかわると思うか聞いた質問で、認知者全体の中で「かわると思う」と答えた人は55.7%。半数以上が、勉強に何かしらの影響があると考えていました。
  • その理由を自由回答で聞いたところ、「すぐ/早く答えが出る」「時短できる」など、情報収集や検索のタイムパフォーマンスが良くなるという回答が多くありました。また、「辞書/塾/学校がいらなくなる」といった学習環境の変化や、勉強の質が変わるといった意見、ネガティブな変化として「考えなくなる」「頼りすぎてしまう」という声がありました。
  • 「かわらないと思う(16.6%)」の理由としては、 「結局理解しなければいけないのは自分」「(AIが正しいのか)判断するためには自分が勉強しないとわからない」といった、“最終的には自分次第”といった意見が散見されました。「(生成AIで)入試は突破できない」など、受験を控えた中3生の実感のこもった声もありました。
  • 「どちらともいえない/わからない(27.7%)」の理由は、「使ったことがないから」が多数。その他に「学校で使っていない」「(生成AIの使用を)見つかったら先生に怒られる」といった声があり、学校や授業で使っていなかったり使用を禁止されているので、生成AIの勉強利用がイメージしづらいといった様子もうかがえます。

    「かわると思う」理由

    • 分からないところを調べるのに時間がかからなくなる。(小6男子)

    • 宿題でわからないとき、すぐに質問できるし、答えてくれそうだから。(小5女子)

    • 辞書を引くということが無くなると思う。(小6女子)

    • 塾に行ったり、家庭教師を呼ばなくても勉強を教えてくれそうだから便利だと思う。(小6男子)

    • 先生がいなくてもAIに聞けば教えてもらえるけど、それはさみしい。(小4女子)

    • 答えが一つのものは簡単に、複数のものは色々な考え方が生まれる。(中1女子)

    • 暗記ではなく応用問題が多くなると思う。(中3男子)

    • 質問に対する答えが複数かえってくるので、逆に良く考えるようになるかも知れない。(小6女子)

    • 何でも尋ねれば簡単に答えを教えてもらえると思ってしまいそう。(中2女子)

    • 自分で調べないでAIに頼る子が出てくると思う。(小6男子)

    「かわらないと思う」理由

    • 今までネットで調べていたことをAIに聞くようになるかもしれないが、問題を解いたり覚えたりするのはこれからも自分自身だから。(中2女子)

    • 結局、自分が勉強して理解しないと問題が解けないし、AIの示していることが正しいのか判断するためには自分が勉強しないとわからないと思うから。(中3男子)

    • 入試は突破できない。(中3女子)

    「どちらともいえない/わからない」理由

    • 使ったことがないからわからない。(小5男子)

    • 勉強に使おうと思っていなかったから。(小4男子)

    • 信用できるかどうかわからないから。(中3女子)

    • まだ学校で使っていないから、どうなるかはわからないです。(小4女子)

    • 見つかったら先生に怒られるから使いたくない。(中3女子)

    【使用経験者】使用目的は検索がトップ。文章生成は中学生が小学生より高い。女子は、雑談や相談、イラストを描くといった検索以外の目的での使用率が男子より高め。

  • 生成AI使用経験者に聞いた使用目的は、「わからないことを調べる」がトップ。従来の検索エンジンのように調べものをする目的で使用している人が7割で最多でした。
  • 小学生と中学生ではあまり差はありませんが、中学生は「文章を作ってもらう(28.1%)」「文章のアイデアを出す(23.7%)」といった文章生成での使用が、小学生よりも5pt以上高い値でした。

  • 男女では多少の違いが見えてきました。
  • 男女とも「わからないことを調べる」が1位ですが、女子は「会話や雑談をする(26.6%)」「悩みごとや将来の相談をする(17.6%)」といったトーク・チャット目的、「絵やイラストを描く(22.7%)」などの創作目的での使用が男子より高めです。生成AIは共感や理解を示すような対話も可能なため、調べ物以外にも会話や相談、創作といった幅広い利用につながっているようです。

    【認知者・使用経験者】生成AI利用上の注意点の認知は、すべての項目で半数に届かず。

  • 生成AI認知者に、生成AIを使うときに気を付けることを挙げて、知っている項目を聞いたところ、最も高かったのは「名前や住所を入力しないようにする(35.8%)」。
  • 生成AI使用経験者に絞っても、すべての項目で半数に届きませんでした。
  • 利用上の注意点はあまり浸透しておらず、認識不足のまま利用が先行していると言えます。

    【使用意向者】「生成AI」を夏休みの宿題に「使った」「使う予定」の人は使用意向者中3割。

  • 調査実査の時期が夏休み期間中だったため、生成AIを「今後(も)使うと思う」と回答した人に、夏休みの宿題に生成AIを使ったか(使う予定か)を聞いたところ、「使った」「使う予定」と回答したのは合わせて3割でした。
  • 小学生は、半数以上が「使わない予定」と回答しました。
  • 中学生は、「使った」「使う予定」と回答した人が小学生と比較して13pt高く、36.1%でした。

    ※小数第2位を四捨五入しているため、グラフの合計値は100%にならない場合があリます。

    おとな研究員
    おとな研究員
    おとな研究員

    「生成AIで勉強のしかたはかわると思う」と回答した人は生成AI認知者の半数以上。その理由として、「すぐ/早く答えが出る」「時短できる」が多く挙がったのは、多忙でタイパを重視する今の子どもたちらしいコメントです。
    また、「頼りすぎてしまいそう」「自分で考えなくなりそう」といった慎重な意見や、「答えが複数かえってくるので、逆に良く考えるようになるかも」といった”良い変化があるのでは”という意見があるなど、自由回答から子どもたちの豊かで多様な考えを知ることができました。
    今回の調査結果から、子どもたちは、生成AIを「楽しい」「味方」とポジティブな存在として捉えながらも、安全性や信頼性を探っている段階であると言えそうです。まだなじみのない生成AIというツールを、ある程度は子どもたちが主体的に用心して扱っている様子があるとはいえ、サービス浸透の過渡期だけに、利用上の注意点を周知をすることも大切なのではないでしょうか。(研究員S)

    ※この調査では、対象者は以下の生成AIについての説明を読んでから回答しています。
    「生成AI」とは、たくさんの文章や絵、写真、音楽などを学んだコンピューターが、新しいアイデアや答えを作り出してくれるしくみです。
    質問に答えたり、作文や絵をつくったり、知らないことを説明してくれたりします。
    まるで人と会話しているような自然な話し方もできます。
    生成AIの代表的なサービスには、ChatGPT、Geminiなどがあります。

  • 調査概要

    小中学生男女を対象に、子どもをとりまくさまざまなトピックスについて聴取する調査です。「子ども」「ことば」「教育」に関するトピックスについて、子どもたち自身がどう感じ、考えているのかを明らかにすることを目的としています。

    調査エリア
    全国
    調査対象
    小4〜中3 男女 1,200人
    調査日
    2025年8月8日
    調査分析
    公益財団法人博報堂教育財団 こども研究所
    調査方法
    インターネット調査
    調査機関
    QO株式会社

    子どもの回答にあたっては、保護者の監督のもとで行っております。

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