4割弱は「体を動かしていない」。
でも「動かすべき」と考えている子どもは9割超!
スポーツ庁の調査*によると子どもの運動時間(体育の授業以外)は、減少傾向が続いているとの結果が出ています。そもそも子どもたちにとって「体を動かす」とはどのようなことなのかを把握すべく、あえて「スポーツ/運動」に絞り込まずに広いところから掘り下げてみました。
*引用:スポーツ庁「令和5年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」
令和4年度・令和元年度との比較
※詳細レポートは、サイト最下部からダウンロードできます。
「体を動かしている」は全体で約6割。だが特に小学生男子が牽引。
全体では「動かしている計」が約6割。中でも小学生男子が77.3%と牽引しています。しかし、その男子でも全体でみると「動かしていない計」が3割程度と、大多数が「体を動かしている」と言い切れないのが現状です。女子では「動かしている計」が小学生でもどうにか5割を超える状況。中学生女子では5割に届きません。
「体を動かす」場面は、スポーツだけでなく、遊びや日常の移動でも。
「体を動かす」場面は授業だけでなく、部活や習い事での「スポーツ」がそれぞれ3割程度。小学生では放課後や休み時間の「ドッジボール」「縄飛び」など ‘遊びとスポーツの中間’のようなことや「鬼ごっこ」などの外遊びが「スポーツ」以上に高く、また小学生、中学生ともに「家の中での体を動かす遊び」や「自転車などに乗ってどこかへ行く」が2割超でした。
部活、習い事など「スポーツ」系
本気の「ダンス」系
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ダンススクールで週2回と家でその練習をしている。(小5女子)
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好きなアーティストのダンスを練習しています。(中1女子)
「自主トレ」系
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毎日の夕方に1.5キロのランニング。(小5男子)
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部活をしているので激しい運動量があるし、休みの日にも家で筋トレやランニングをしている。(中2男子)
「スポーツと遊びの中間」系
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学校で友達と休み時間にドッジボール、追いかけっこ。(小4男子)
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鬼ごっこ、なわとび、タグラグビー。(小4女子)
「外遊び」系
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外遊びとして友達と走り回ったり公園で遊んだり。(小4男子)
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学校から帰ってきてからも家の近くの公園で友達と約束して遊んでる。(小5女子)
「ゆる運動」系
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おふろにはいったあとストレッチをしている。(小4女子)
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痩せたいと思った時にストレッチをしたり家の中で自転車を乗ったりしています。(中2女子)
「屋内遊び」系
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けん玉でも体を動かしながら行っています。(小4女子)
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家では妹とジャンボリーミッキーなど踊っている。(中1女子)
「Neoスポーツ」系
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外でスマホの位置情報ゲームをしながら歩いている時。(中3男子)
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Switchのゲームで動かしている。(中3女子)
通学、移動など「生活運動」系
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放課後に友達の家に自転車で遊びに行ったりしてる。(小4男子)
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学校への徒歩通学往復40分と体育で体を動かす以外に特別体を動かさないです。(中2女子)
「体を動かすのは好き」が多数、「嫌い」も3割弱存在。両者には「気持ちいい ⇔ 疲れる」それぞれの感情が。
全体では‘好き派’が76.5%の一方で、‘嫌い派’も23.5%。男子に比べて女子の「好き」度は低く、小学生に比べ中学生では「好き」度は下がります。‘好き派’の理由の中心にあるのは、「気持ちいい」や「楽しい」というプリミティブな感情。他方で「健康にいい」や、女子を中心に「ダイエット」といった実利的な理由も見られます。一方、‘嫌い派’では、「疲れる」「面倒くさい」という意見が大多数。
「体を動かした後」は、すっきり。楽しい気持ちになりテンションも上がる!
「体を動かした後」の気持ちは「すっきり」「楽しい気分」「テンションがあがる」が3大ワード。「好きな理由」とも近しい傾向ですが、シャキッとするよりもすっきり、明るいよりも楽しい、エネルギーが満ちるよりもテンションがあがると感じているようです。一方、‘嫌い派’で聞かれた「疲れる」は3割程度。それ以外では、「汗をかいて気持ち悪い」という回答が目を引きます。
体を「動かしている/いない」「好き/嫌い」に関わらず、「動かすべき」の考えが圧倒的多数。
体を動かすことは「ぜったいにした方がいい」という声が全体のほぼ1/4を占め、 実態 や好き嫌いに関わらず、95%が「体を動かすことが必要」と回答。他の結果と合わせて見てみると、「動かすべきだが、動かせていない」が34.2%、「嫌いだけど、動かすべき」が19.5%でした。
「体を動かしたくなる」のは「じっと」「ダラダラ」していたときだけではなく、気分がよいときも。
最も体を動かしたくなる瞬間は「暇、たいくつを感じたとき」。「ずっと家にいる」や、予定がなく「じっと」「ダラダラ」過ごしているときなどに、「たいくつ」を感じ、体を動かしたくなるようです。「イライラ、ストレス」「もやもや/憂鬱を感じたとき」にという声も多く、閉塞感を感じたときに、「体を動かしたい」という衝動が起きる一方で、「天気がよく気分がいい」など、 気持ちが‘陽’に振れたときにも体を動かしたくなる傾向も。プラスマイナス両方の‘誘発スイッチ’ が存在することがうかがえます。
暇なとき、たいくつなとき
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家にいてすることがないとき。(小4男子)
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何もすることがないようなとき。(中1女子)
イライラ、ストレスを感じたとき
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むしゃくしゃしたとき。(中1男子)
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ストレスが解消されないとき。(中3女子)
勉強のストレス
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ずっと座って勉強をしているとき。(中2男子)
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勉強していて集中力がなくなってきたとき。(中3女子)
モヤモヤしたとき
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気持ちがもやもやするとき。(小4男子)
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友達関係で悩んでいるようなとき。(小6女子)
体が鈍ったとき、体重がふえたとき
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風呂から上がって体重計に乗ったとき。(小6女子)
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運動不足を感じるとき。(中2女子)
何だか気分がいいとき
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気分がよいとき。(小4女子)
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楽しい気分のとき。(小5女子)
テスト・勉強をがんばったとき
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テストが終わったとき。(中1女子)
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勉強時間の後。(中2女子)
天気がいいとき
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天気が良くて、時間のあるとき。(小5男子)
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天気が良くて気分が良いとき。(小5女子)
スポーツを観たとき
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スポーツの動画を見た後。(小5男子)
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サッカーの試合などを見たとき。(中2男子)
音楽が流れた・動画を見たとき
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YouTubeでダンスシーンをみたとき。(小5女子)
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ノリのいい音楽を聴いたとき。(中2女子)
友だちといるとき
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友だちと遊んでいるとき。(小5男子)
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友だちと騒ぎたいとき。(小6女子)
とにかく動きたいとき
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はしりたくなったとき。(小4男子)
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体力が余っているとき。(小6女子)
体を「動かすべきだが、動かせていない」が34.2%と、体を動かす必要性を肌で感じながらも動かすに至っていない現状には時間や場所の制約、遊び方の変化なども含め複合的な理由が背景にありそうです。
好き嫌いに関わらず「体を動かした方がいい」が95%と高かったのは、子どもたち自身が本能的にそう思っているのか、体を動かす必要性を教育や社会の中で自然と学び取っているのか、いずれにしても興味深い結果でした。(研究員T)
ミニバスケットのクラブチームに入って週3回の練習と月2回の試合をしている。(小4女子)
野球部なので、週4日くらいの練習と試合、そして自主的に朝練を土日はやっている。(中1男子)