新しい知識を学ぶことが楽しいし嬉しい 千葉県の中学2年生の話

写話 アバター編#006
ニックネーム:シマエナガ
インタビュー実施:2022年度

学年:中学2年生

性別:女性

居住地:千葉県

家族構成:父、母、本人

所属部活動:科学部、数学部

学習塾:—

習い事:ピアノ

趣味:ピアノ

特技:ピアノ

最近ハマっていること:朝早く学校に行って勉強すること

オンラインゲームで遊ぶことはあるか:ない

実際に会ったことがない人とネット上で遊んだり話をしたりするか:ない

ゲームやネット空間ではおなじみのアバター。学問的な研究によって、アバターを使うことでさまざまな心理的変化が起こるらしい、ということも分かってきました。

それならば、私たちがこれまでおこなってきた写話インタビューにアバターを用いると、コミュニケーションにどんな変化が起こるのだろう?そんな疑問を出発点に、中学2年生のみなさんに協力していただき、聞き手(インタビュアー)としてアバターを使った写話インタビューを試行的に実施しました。

今回の写話アバター編(全6回)では、アバターを活用したインタビューの模様をお届けします。

通常の写話インタビューとのおもな違いは、次のとおりです。

1) インタビュー開始時、聞き手(インタビュアー)とは異なるスタッフがイントロダクションをおこない、語り手の中学生に次の6種類のアバターのなかから好きな聞き手を選んでもらう。

1.ヒロシ
1.ヒロシ
2.ヒロミ
2.ヒロミ
3.HIRO
3.HIRO
4.いぬいぬ
4.いぬいぬ
5.チャトラン
5.チャトラン
6. ちび太
6. ちび太

2) 選択候補のアバターは、VRチャットなどで一般的に使われることが多い「人型」と「動物型」からそれぞれ3種類ずつ用意。聞き手は、アバターごとに設定した簡単なプロフィールやペルソナをふまえインタビューをおこなう。

3) アバターを使わない通常のインタビューも別の日に実施し、語り手自身にそれぞれの感想をアンケート形式でたずねる。

※6本すべてのインタビュー記事公開後に、今回の試みの目的や具体的な手法などを掲載したふりかえり記事を公開予定です

語り手
シマエナガ
シマエナガ
聞き手
いぬいぬ
いぬいぬ
01 ピアノ

01 ピアノ

理解して弾くのと、理解してないで弾くのとは、やっぱりぜんぜん違くなってくるので

(お話したいインタビュアーを選んでもらえますか?)

じゃ、3番(いぬいぬ)で。

(なんでいぬいぬと話したいと思ったのかな?)

なんか一番ふんわりとしてる雰囲気があって、穏やかだなって思った感じです。

(人間よりもいぬいぬのほうが話しやすそう?)

ヒロミさんと少し迷ったんですけど。でも、あの、いぬいぬのほうが、かわいらしいなって思いました。

(準備できたみたいなので、バトンタッチしますね。)

はじめまして。まずはシマエナガさんのことを教えてもらえるかな?

はい。名前は、シマエナガです。3歳からピアノをやっていて、ピアノにハマっています。ペットとか、犬、特に好きなんですけど、あの、飼いたいなと思っても親が拒否するので飼えません。うんと、これから勉強とかも忙しくなるんですけど、部活とピアノと勉強と両立できるようにがんばろうかなっていうふうに思っています。

さっそく写真の話を聞こうかな。01〈ピアノ〉はどんな写真?

あ、はい。えっと、自己紹介のときにも少し話したんですけど、3歳からピアノをやっていて、で、いちおう趣味でもあるんですけど、特技でもあるものであって。で、ピアノっていうのはやっぱり音楽の一部なので、人を幸せにできたりとか、人の感情を明るくできたりとかするものかなっていうふうに思っていて。で、ピアノはやっぱり、あの、いろんな人が弾いたりとか、いろんな人が聴いたりとかしているものなので、ま、ふれやすいし、自分の好きなものなので載せました。

趣味でもあり、特技でもあり……きっとピアノ上手なんだね。

いえいえ、そんなことはないです。

ステージで演奏することもある?

そうですね。コンクールとか、コンサート発表会とかでステージに出ます。

コンサートがあるんだ。

そうですね。応募とかして、夏、毎年夏にコンクール受けてて。あと、冬にもコンクール受けてるんですけど、発表会も冬にやって。コンサートは、まぁ年によって受けたり受けなかったりっていう感じです。

本格的だね。練習は毎日?

んー、でも1時間ぐらいでけっこう少ないほうなんですけど。ま、やるようにはしてます。

これってどこの写真?グランドピアノだね。

そうですね、これは、あの、市……ええと、市の、市民館?みたいなところで。私の家がアップライトピアノなので、グランドピアノとは、やっぱり音の音色とか響きとかタッチとか、そういうのが違うので、グランドピアノを借りて練習したときの写真です。

すごいね。どんな曲やるの?

えっとー、今はバッハの『平均律(クラヴィーア曲集)』を弾いてるんですけど、たとえば、今は2番弾いていて。で、バッハの、ええとー、『平均律』っていうのはプレリュード(前奏曲)とフーガっていうものに分かれて(2曲で1組の楽曲になって)るんですね。で、2番のプレリュードの風景みたいなものは、あの、人々が毎日淡々と仕事をしている様子を描かれていて。最後のほう、すごくクレッシェンドというか盛り上がるかたちになるんですけど、そこでは、あの、貴族の方たちのお城が燃えてしまって。で、まぁ、やっぱり死んでしまう人がいるっていう結末でプレリュードは終わるんですね。で、フーガに入ると、やっぱりプレリュードとフーガってちょっとつながっているので、あの、お話の物語もちょっとつながってるようになってて。フーガでは、その亡くなった方たちの、なんだろな、幽霊とか骸骨とかが踊っているような、ちょっと、不気味というか、そういうふうなイメージになっています。

へえ!ぜんぜん知らなかった。それはバッハが考えたお話なの?

これは、別にそうとは言われてはなくて、ピアノの先生とかが言ってたことなんですけど。やっぱり……ピアノを弾くにあたって、どの作者の人でも作曲の方が考えたこととか、その時代の、たとえばショパンだったら戦争の時代で……ポーランドがすごく戦争で負けてきたんですけど、ショパンは、ええとー、自分はポーランドにいずに、フランスのパリに逃げていって、で、そこで作曲したっていう曲がとても多くて、友達はポーランドでだんだん亡くなってくのに、自分は逃げてって、その悲しみと、ポーランドの戦争への怒りと、そういうのが混ざった曲がとても多いので、そういう感情とか風景とか時代のイメージとか、そういうのをやっぱり理解して弾くのと、理解してないで弾くのとは、やっぱりぜんぜん違くなってくるので、そういう背景とかを読み取る、みたいなことです。

05 勉強

05 勉強

学ぶときっていうのは、すごく嬉しい……嬉しいというか、楽しいし嬉しいし、みたいな感じです

ピアニストを目指してたりする?

将来は薬学者とかになりたくて。

え?薬学者?

あのー、薬を作りたいんですよ。

ピアニストじゃないんだ。

そうですね、(ピアノは)あくまで趣味とか特技みたいなものです。

薬学者になりたいって思ったきっかけとかあるのかな?

うん、特別ってものは特になくて。(小学)3年生から理科がはじまるんですけど、その3年生からずっと理科がすごく好きで。小学校2年生とか1年生のときに理科のワークとか、あの、すごく勉強とかとても好きなので、楽しくやっていて。で、特に数学とか国語とか英語とかももちろん好きなんですけど、理科が断トツで好きで。今でもやっぱり理科とかがすごく好きで、理科のなかで何が好きかな?ってなったときに、一番面白かったのが化学とか、ばけがくの化学だなって思って。で、まぁ、そういうのが理由でやっぱり薬とか作ってみたいなって思って、決めました。

化学ってどんなところが面白いの?

んー、色が変わるっていうのももちろんそうなんですけど、やっぱり物体、物質とかが、まぁ混ぜたら変わるとか、普通やっぱりなんだろ、ものと……混ぜても、ま、そういうもの混ぜたものだけじゃないっていう感じなんですけど、でもそれがやっぱ新しいものに変わるみたいな、そういうところも面白いなって思います。

化学変化が面白いなって感じ?

そうですね。あとは、やっぱり身のまわりに化学ってほんとにたくさんあって、私たちが住んでる空気とか、そういうものも全部、化学にも影響とか、まぁ、なんかあるので。もう身のまわりにもあるし、学校でも習うし、でも、実験ってなると……なんだろな、学校の実験とかはけっこう、近くは感じるんですけど、学者の方たちがやっている実験ってのはちょっと遠いみたいな。そういう、身近だけど、実験ってなると身近じゃないみたいな、そういうところもけっこう好きで。やっぱり自分にとって化学はすごい身近な存在でもいたいし、んー、化学とふれあっていたいなっていう感じです。

ちょうど勉強の話になったので、次は05〈勉強〉、聞いてもいいかな?

はい。

好きなことを写真に撮ってくださいってお願いしたときに、あ、勉強撮ろってすぐ思った?

そうですね、思いました。

コメントにある「知らないことが出てきたときやパッとわかったとき」の気持ちって、どういう感じ?

知らないことが出てきたときは、なんだろ、やっぱり知らないことっていろいろあるんだなとか、あのー、知らないことを分かるってすごく好きで。で、やっぱり身についてる感じもするし、なんだろ……身についてる感じ……数学とかでも分かんないことあって(それが分かるようになったとき)も身についてる感じもしますし、あとは、いろいろな理科とか社会の知識とかでも、あの、いろいろと役立つこととかも増えると思うので。そういうものを、やっぱり、学ぶときっていうのは、すごく嬉しい……嬉しいというか、楽しいし嬉しいし、みたいな感じです。

へぇー。どんな勉強にもその気持ちって当てはまる?

はい、当てはまります。

勉強が嫌いになったりとかしない?

んー、勉強が嫌いってことがあまりないんですけど。なんだろ、授業とかで、たまに教科書の内容を写すってのがあるんですけど、それはまぁ、教科書を見ればいいんじゃないかな?とか、書く必要ってあるのかな?っていうふうには思ったりはします。

勉強好きなほうが、なんか得しそうだね。

うーん、でも、個人的に思うのは、勉強ってやっぱ好きになる必要はないんじゃないかなっていうふうに思ってて。あのー、ま、学校で勉強とかしてて、やっぱ勉強が嫌いだったら、その学校の時間がすごく憂鬱に感じるとは思うんですけど。でも、勉強が得意とやっぱ好きはちょっと違うと思ってて。で、勉強とかを、まぁ、嫌でもやって得意になると、だいたいの人ってたぶん、その瞬間好きになるんじゃないかなって思ってて。なので、最初から好きになる必要ってないと思うし、やっぱこの世の中って勉強だけじゃないと思ってるので。

そっか。やってるうちに、できてくると好きになる、と。

そうですね、なるんじゃないかなぁっていう予想みたいな感じです。

「嫌い」って言ってる子はちゃんとやってないのかな?

んー、なんだろ。あとは、まわりの友達とかに、「勉強ってつまらないよね」みたいなことを、やっぱり聞いてると、ま、つまんなく感じて嫌になってくるのかなっていうふうには思います。

02 パズル

02 パズル

03 東大王

03 東大王

04 クイズノック

04 クイズノック

イメージとして、頭のいい人ってやっぱかっこいいよなぁって思ったりするので

じゃあ次の写真、03〈東大王〉と04〈クイズノック〉があるね。

はい。

「東大王」、好きなんだ?

そうですね、好きです。

なんで好きなの?

やっぱり、インテリの方って、いろんな知識持ってたり、いろんなこと知ってたりとかすると思うんですけど……その方たちから新しい知識とか情報とか得られたりするところとか、あとは、あの、あたし自身がクイズがとても好きで、インテリの方ってけっこうクイズやってたりする気がして。で、「東大王」も「QuizKnock(クイズノック)」も、やっぱ、クイズをテーマとする番組とかチャンネルになってるので、そういう……インテリの方から新しい知識をもらうっていうのも好きですし、あとなんか、個人的に、ま、イメージとして、頭のいい人ってやっぱかっこいいよなぁって思ったりするので。

かっこいいよね、伊沢(拓司)くんとか。

あ、そうですね、めっちゃ好きです。

QuizKnockのメンバーってみんな東大生なんだっけ?

えと、全員ではないですね。

もしかしてシマエナガさんも東大行ったりするのかな?

大学とかはぜんぜん、あんまり決めてなくて。まぁ、なるべく今、なんだろ、ハイレベルなところを目指して、ま、落ちたとしても中ぐらいっていうか、まあまあな位置の大学に行けるようにはしようかなっていうふうに思ってます。

お話聞いてると、新しい知識とか知らないことが分かるっていうことが好きなんだね。

そうですね。

なんでそんなふうになったんだろう?

え、なんだろ、たぶん自然とだとは思うんですけど。あの、小さい頃からクイズとかがすごく好きで、で、クイズ番組とかもとてもよく見ていて。で、たぶん小学校の頃ってクイズ番組出てくる知識とか話題とかってのは、あんまりまだ知らなかったと思うんですよね。で、知らないことをテレビで、あの、芸能人とかみなさんがもうバンバン答えていくっていう、そういう姿とかに、やっぱり自分もなりたいなって思って、たぶん、勉強とか新しい知識が入るってことがたぶん好きになったんじゃないかなっていうふうには思います。

クイズ番組に出てみたかったりする?

出てみたいとは思うんですけど、やっぱりまだクイズの勉強とか足りてない部分あるので、まぁそういう勉強をしてから出たいなっていうふうに思います。

最後、02〈パズル〉はどんな写真ですか?

えっと、ひとつはルービックキューブなんですけど、もう1個は実はルービックキューブじゃなくて。あの、上の、なんか黒い枠に囲まれてると思うんですけど、上の部分が外せるんですね。中から四角いキューブが出せて、で、それを入れて、なんだろ……三目並べみたいに、横一列か縦一列か斜め一列の色が揃えられたほうが勝ち、みたいなゲームなんですけど。

ルービックキューブがふたつ並んでるのかと思ってた。

大きさもやっぱりルービックキューブよりちっちゃくて。で、パズル自体はもともと……というか、本屋さんとかですごく買ってやってて。で、パズルってやっぱり、あの、すごい楽しくて、解けなかったりするとやっぱり、ま、ハマっちゃうと1時間ぐらいかかっちゃたりとかするので、うん、なんかそういうところとかが楽しかったりとかします。

パズルは自分で本屋で買うの?

お母さんとかが一緒に本屋さんに来てくれたときに買うっていう感じです。

マンガとかじゃなくて、パズルを買うんだ。

そうですね、マンガはあんまり読まなくって。あー、歴史の(学習)マンガとかは持ってるんですけど、んー、なんだろ、ま、なんか、ファンタジーのマンガとか、そういう系はあまり読んでないですね。

これで写真は終わりだけど、ぼくと話してみてどうでした?

ん、やっぱ自分の好きなものとか、そういうものを見直す機会にもなれたかなっていうふうに思います。

いぬいぬと話してどんな感じがした?

んー、なんだろ、あんまりキャラクターと話すみたいな感じではなく、やっぱ普通の人とおしゃべりしてる感じではありました。

(聞き手:こども研究所/Zoomにて)

撮影写真一覧

01 ピアノ

01 ピアノ

小さい頃からずっと好きでやってきました。曲の特徴や風景を読み取ったりステージで演奏するのが特に好きです。

02 パズル

02 パズル

ルービックキューブやパズルをたまにやっています。楽しくて時間がどんどん過ぎていってしまいます。

03 東大王

03 東大王

もともとクイズ番組が好きで初代の頃から東大王は見ていました。東大王も推しの1つです。

04 クイズノック

04 クイズノック

クイズが好きで伊沢拓司さん達がクイズをしている姿も好きです。クイズノックのメンバーは私の推しのメンバーです!

05 勉強

05 勉強

知らないことが出てきたときやパッとわかったときは特に面白いと思える瞬間です。

インタビューを振り返って(本人の感想)

アバターと話してみて 話しやすかった? ややそう思う 自分のことを話すのに抵抗はあった? ややそう思う 自分の思っていることや考えていることを話せた? ややそう思う 自分では話そうと思っていなかったことを話した? あまりそう思わない

人間(生身)の聞き手とアバターの聞き手をくらべて どちらが話しやすかった? どちらかというと人間のほうが話しやすかった
どちらが自分のことを話すのに抵抗があった? どちらかというとアバターのほうが抵抗があった
どちらが思っていることや考えていることを話せた? どちらかというと2回目(人間)のほうが話せた
どちらが自分では話そうと思っていなかったことを話した? どちらかというとアバター(1回目)のほうが話した

インタビュー全体の感想 インタビューの感想は? 自分のことが改めて理解することができたので良かったです。

インタビューを読んで(ご家族の視点)

「この子らしいな」と感じたことはありましたか? 小さい頃から好奇心旺盛でしたので、全ての写真に対して娘らしいと感じました。
意外だった/知らなかったことはありましたか? このインタビューの内容で意外だったことや知らなかったことは特にありません。
その他に気づいたことなどはありましたか? ピアノに関して、練習不足が続いて先生に叱られることが続いても、もうやめようかと話してみても、本人にピアノをやめるという考えがなく、継続できていることに、続けることの大切さを改めて感じました。

(シマエナガさんとの関係:母)

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