プロフィール
野村彩乃 (のむら・あやの)
ニコラ編集部員。別媒体の編集を経て、2021年から『nicola(ニコラ)』に編集者として携わる。
平野千晶 (ひらの・ちあき)
ニコラ編集部員。学生時代の同誌編集部でのアルバイトを経て、2022年から『nicola(ニコラ)』に編集者として携わる。
中学生たちの情報収集
お二人は、いつから『nicola(ニコラ)』の編集部にいらっしゃるんですか?
私は、以前は小学生向けの媒体を制作していたのですが、転職して昨年からニコラ編集部に在籍しています。
私は大学在学中からニコラ編集部でアルバイトをしていて、そのまま今年4月に入社しました。
アルバイトからそのまま社員になられたのですね。編集部でアルバイトをされるきっかけは何かあったのでしょうか?
大学の演習で雑誌を実際に作ったことがきっかけで、もっと雑誌を作ってみたいと思うようになったんです。そこで、かたっぱしから雑誌編集のアルバイト情報を調べて、一発目に電話をかけたのが『ニコラ』でした。
なぜ他の雑誌ではなく、『ニコラ』だったのでしょう?
中学生のときに愛読していたというのもあるんですが、かわいいというものを自分よりも下の年代の子たちに発信したいなと思ったのが大きかったです。
ご自身が中学生として読んでいたときと、現在とでは誌面の内容はどのように変化していると感じますか?
私たちが中学生だった当時より、すべてにおいて大人びているなという印象が強くて。お洋服にしても、以前は、子どもブランドと言ったら語弊があるかもしれないですが、安価でファストファッションのようなブランドの服を取り入れることが多かったのに対して、いまは大人も着るようなブランドを身につけていたり、着てはいなくてもそれに憧れていたりする子が多いと感じます。メイクにしても、こんなことまでやっているんだ! こんなものまで持っているんだ! と感じることが多くて、広い範囲にアンテナを張っているんだなと思わされます。
そういう情報を、モデルや読者の中学生たちはどうやって手に入れているのでしょう?
SNSだと思います。TikTokが多いと思いますが、インスタ(Instagram)もまったく見ていないわけではない印象です。(ニコラのモデルや読者だと)Twitterはほとんど見ている印象はないですね。
(ニコラの専属)モデルから話を聞くと、知りたいことがあったらTikTokでハッシュタグ検索をしたり、投稿に埋め込まれた位置情報からショップなどの場所を探したり、音楽もTikTokで探したりという感じです。
ニコラモデル(通称、ニコ(モ))
という存在
先ほど、中学生たちはSNSで情報収集をしているというお話がありました。個々のモデルさんはもちろん、『ニコラ』としてもSNSでの情報発信をされていますが、どんな投稿が人気ですか?
私はニコラモデルの私服スナップのアカウント(https://www.instagram.com/nicola_snap/)を管理しているんですが、いいねとか保存数が多いと感じるのは、ひとつミーハーな要素があったりとか真似しやすそうだったりするコーディネートですね。夏だったらオーバーオールにブラウス、とか。等身大ですぐに真似できそうなものは、読者の反応がいいです。そのときに流行っているミーハーなアイテムを使っているコーデも、いいねや保存数が増えやすいと感じます。
ニコラモデルというのは、『ニコラ』の専属モデル(通称、ニコ(モ))のことですよね。モデルのみなさんは、読者と同年代の中学生だと思うのですが、編集部のある東京に住んでいるモデルさんが多いのでしょうか?
モデルは中学生がメインで、高校1年生が最上級生です。いまは全部で27人いますが、住んでいる場所は日本全国ばらばらですね。
ニコラモデルといえば、これまでも多くの著名人を輩出していますし、オーディションには毎年数万人の応募があるとうかがっています。モデルを選ぶうえで大切にされていることは何かありますか?
中学生の職場訪問で「どうやったらニコ(モ)になれますか?」と聞かれて、私も悩んでしまったことがあるんですが、何か明確な基準があるというわけではないんです。ただ、その子なりの何か光るものをもっている子がモデルになっているという印象があります。容姿にかぎらず、料理が得意とか、勉強ができるとか、自分なりの強みをもっている子が選ばれているように思います。
容姿だけでない「+α」の部分が、読者の共感を呼ぶポイントなのかもしれませんね。
もちろんモデルには読者にとって憧れの存在であってほしいというのはありますが、芸能人のような遠くにいる人たちとは違う、独特な立ち位置にいるのかなと思いますね。
ニコラモデルの私服スナップのアカウント
(@nicola_snap)より
『ニコラ』の企画は
どうやって作られる?
雑誌を拝見すると、一冊に詰まった情報量の多さに驚くのですが、企画はどのように立てているのでしょうか?
毎月死にそうになりながら企画書を出しています(笑)。人によっては原宿に1時間くらい立って人や街の様子を観察しながら考える人もいますし、ニコ(モ)の会話からキーワードをピックアップして企画にしたりすることもあります。
原宿という地名が出ましたが、新大久保に行きたいという中学生の声もよく聞きます。新大久保もリサーチや取材でよく行かれますか?
わりと行っていますね。美容とかコスメとかは、韓国が強かったりするので、新大久保で店員さんにお話を聞いたり、中学生のお客さんたちが何を見ているのか横目でチェックしたりしています(笑)
食べ物も新大久保から新しい流行りが生まれている印象がありますが、原宿から新大久保に人気が移っていたりもするのでしょうか?
新しいお店は新大久保にできることが多いので話題になることが多いかもしれませんが、ずっと憧れていた東京に来た、さあ何食べる?となったときには、やっぱり原宿のいちご飴!みたいになったりすることも多いので、一概にどっちが強いとは言えない気がします。原宿にも新大久保にも、どちらにも憧れの要素はあるのかなと思います。
読者アンケートもとられていますよね。そこから企画に発展することもありますか?
ニコ(モ)から生まれる企画のほうがイケてる感は出ると思うので、モデル発信の企画のほうが多いですが、等身大のお悩み解決のような企画は読者の声から考えることが多いですね。
『nicola(ニコラ)』2022年12月号の誌面 ©新潮社
【中編】につづく