トピックス調査

学校のこと、どう思う?

小中学生*の約8割は 「学校が好き」 。それでも半数近くは 「朝、学校に行きたくないと思うことがある」 。

公益財団法人博報堂教育財団の調査研究機関:こども研究所では、全国の小学4年生~中学3年生を対象に**、子どもをとりまくさまざまなトピックスについて、調査を実施しています。

今回は、子どもたちに「学校」について聞きました。調査結果からは、学校が「好き」だけど、「朝、行きたくない」と思うことがあったり、「好き」だからこそ学校に対して"いろいろ言いたいことがある"という子どもたちの姿が見えてきました。

*小学生=4〜6年生※以下同様
**一部項目は保護者にも聴取

小中学生の8割は、いま通っている学校が「好き」。「好き」と「きらい」の分かれ目は、クラスや友だち、先生などとの関係性。

いま通っている学校について、全体では「大好き(12.0%)」「好き(40.2%)」「やや好き(26.2%)」を合わせると、78.5%の人が「好き」と回答しました。

小学生/中学生別で見ると、小学生が好き計で83.3%に対して、中学生が73.8%と10pt近く低くなりました。

授業やクラス、先生、友だちなど学校生活への意識を、学校が「好き」と回答した人と、「きらい」と回答した人で比較すると、いずれも大きな差が見られました。とくに、「クラスは仲がいい(「好き」と「きらい」の差分64.2pt)」「学校行事は楽しい(同62.0pt)」などで差が大きく、ほかに「授業が楽しい」「担任の先生が好きだ」、「仲のいい先輩・後輩がいる」、「友だち付き合いはつかれる」でも40pt程度の差が見られました。授業の難易度や校舎/設備への意識には差がないことから、学習上の困難や施設の問題よりも、クラスなどでの集団活動や友だち、先生、先輩・後輩などとの関係性が、学校の「好き」と「きらい」を分ける要因になっていることがうかがえます。

■学校生活への意識(そう思う計、学校が「好き」と回答した人と「きらい」と回答した人の比較)

一方で半数近くは「朝、学校に行きたくないと思うことがある」。行きたくないタイミングは、4人に1人(26.8%)が「月曜日」。

学校がある日に、朝、行きたくないと思うことがあるか聞いたところ、「よくある(10.4%)」「ときどきある(34.9%)」を合わせて45.3%の人が「ある」と回答しました。

小学生/中学生別で見ると、小学生より中学生のほうが、「行きたくないと思うことがある」計は9pt高くなりました。

行きたくないと思うタイミングは毎週おとずれる「月曜日(26.8%)」が最も高い結果となり、一部の子どもには行きたくない気持ちが日常的なものであることがわかりました。

学校は「みんなで力をあわせるところ」6割、「行くのが楽しみなところ」5割。一方で「絶対に行かないといけないところ」「やりたくないことをやらされるところ」も4割と、複雑な気持ちが見え隠れ。

学校についての気持ちを、対立する項目AとBからそれぞれ選んでもらったところ、「A:みんなで力を合わせるところ(57.5%)」「A:行くのが楽しみなところ(47.4%)」「A:安心できるところ(44.2%)」といった学校に対する前向きな気持ちを示す項目が、対比する項目を10pt以上上回りました。

一方で「B:絶対に行かないといけないところ(44.1%)」「B:やりたくないことをやらされるところ(43.6%)」も対比する項目を10pt以上上回り、「A:のびのびできるところ(40.3%)」と「B:きゅうくつなところ(37.1%)」は拮抗するなど、学校に対する気持ちの複雑さが垣間見える結果となりました。

※小学生/中学生別の結果は詳細レポートに記載

学校についての意見:修学旅行は8割、運動会は7割「あったほうがいい」と学校行事には前向き。一方、勉強は「みんなと同じ」より「自分の好きなことを」「自分の好きなペースで」が上回る。

学校についての意見を、対立する項目AとBからそれぞれ選んでもらったところ、 「A:ほめてくれる先生がいい(78.5%)」が圧倒的多数となったほか、 「A:修学旅行はあったほうがいい(79.7%)」「A:運動会/体育祭はあったほうがいい(66.3%)」などの学校行事や、「A:学校に行って授業を受けたい(58.2%)」「A:まとまりがあるクラスがいい(57.6%)」など、学校における集団での活動を前向きに受け止めている子どもが多いことがわかりました。

一方、勉強については、「みんなと同じ」より「B:自分の好きなことを勉強したい(47.4%)」「B:自分の好きなペースで勉強したい(53.5%)」が上回る結果となりました。

※小学生/中学生別の結果は詳細レポートに記載

●もし校長先生になったら何をしたいですか?

「もし校長先生になったら何がしたいか」を自由回答で聞いたところ、回答者1,200人中、9割近い子どもたちからさまざまな意見やアイデアが寄せられ、学校が「好き」だからこそいろいろ言いたい、という子どもたちの思いが伝わってきました。

●学校行事・イベントを増やす

  • 月一で校内行事でお笑いをやる。(小4男子)

  • 全員学校に来てほしいから、学校オリジナルの祭りとか考えて、楽しい行事を増やしたい。(小6女子)

●校舎・設備をきれいにする/新調する

  • トイレをきれいにして、教室もきれいにして、壁も塗り替える。(小4女子)

  • 体育館にエアコンをつける。(小5女子)

●服装・髪型の自由化

  • 生徒一人一人が自由にしたい格好をして、好きな髪色、好きな髪型、スカートの丈も自由、靴下も自由、バッグも自由、セーターやベストも色の指定なしにして、先生が生徒の見た目を否定したり怒ったりするチャンスを奪う。(中3女子)

●休み時間を増やす

  • 給食や授業間の休み時間をもう少し長くして、余裕をもって過ごせるようにする。(中3男子)

●生徒の意見を取り入れる

  • アンケートをとって、学校について希望を集める。できるかどうか先生や教育委員会で話し合う。 (小6男子)

  • ものごとを決める時多数決だけでなく少数派の意見も考慮する。(中2男子)

●その他の意見

  • 1日1時間自由時間を作る。(小6男子)

  • 悪さする子には、きちんと叱る。先生が居ない時に悪さするから、休み時間も見守る。生徒から聞き取りして困ってる子に気付く(小6女子)

  • 授業も、自分で選択できるようにする。教科書を 廃止してタブレッ荷物を可能な限り軽くする。給食は、バイキングにして、自分で食べれる量を自分で考えて決める。生徒が主役の学校にする。(中1女子)

  • 誰かが犠牲にならずに、負担をまんべんなく散らして、先生が辞めない学校。(中2男子)

おとな研究員
おとな研究員
おとな研究員

昨今、不登校やいじめ、教員不足などで注目されることも多い「学校」ですが、当事者である子どもたちは「学校」についてどう思っているのか、気になっていました。結果を見ると、「学校が好き」と答えた子どもが8割と高い数字となりました。しかし、「好き」と答えた子も含め、学校にはいろいろ言いたいことがあるようです。いわゆる不登校の問題と一緒にはできませんが、4人に1人にある「月曜日」に学校に行きたくないという気持ちは、学校のあり方に対する子どもたちの問いかけなのかもしれません。社会の変化を背景に、いま「学校」は大きく変わりつつあります。子どもたちにも、一人ひとりが自分らしくいられて、かつ“みんな”といることの意味が感じられる場所として、「学校」に要望や期待があることをあらためて感じました。(研究員F)

調査概要

小中学生男女を対象に、子どもをとりまくさまざまなトピックスについて聴取する調査です。「子ども」「ことば」「教育」に関するトピックスについて、子どもたち自身がどう感じ、考えているのかを明らかにすることを目的としています。

調査エリア
全国
調査対象
小4〜中3 男女 1200人
調査日
原則毎月第2日曜日に調査実施
調査分析
公益財団法人博報堂教育財団 こども研究所
調査方法
インターネット調査
調査機関
QO株式会社

子どもの回答にあたっては、保護者の監督のもとで行っております。

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