03 エジプト考古学の河江先生
02 吉村先生との写真
08 エジプトの音楽と舞踊
「インディアナ・ジョーンズ」でかっこいいなって思って
自己紹介をお願いします。
えっと、■■小学校の6年■組のルクソールMと申します。現在、趣味といいますと、僕はもともと考古学が好きで、将来の夢として考古学者になりたいっていうことを考えていて。中学受験を控えていて、ま、塾に通っています。で、あと、趣味というか好きなこととしてはバスケが好きです。
じゃあ早速、エジプト関係の写真から聞いていこうかな。
エジプト関係?だったら、ここらへん(03〈エジプト考古学の河江先生〉)とかは、その、「ラムセス大王展(インタビュー時に東京で開催されていた展覧会)」というのが目立っていると思うんですけど。そこで、えっと、河江(肖剰)先生っていう名古屋大学の教授がいて、昔からお付き合いさせていただいて、けっこういろいろ話を伺ったりとかしています。
エジプト考古学に興味をもったきっかけは、なんだったの?
や、お恥ずかしながら、その、(映画シリーズの)「インディアナ・ジョーンズ」で、なんか……
えー!そうなんだ。
や、もともと、なんかガンダーラ美術とかいろいろ、その、中東とかあっち側の考古学に興味があって。「インディアナ・ジョーンズ」でかっこいいなって思って、それから考古学を調べていくうちに、その、まぁ、エジプト?の、考古学に興味をもって、かっこいいなっていうふうになって。そっからずっと好きで、(エジプト考古学者に)なりたいと思ってます。
そうなんだ。ご家族もそういうの好きだったの?
家族は、あの、ガンダーラ美術とかそういうものは、お母さんが好きっていう感じです。
それでいろいろ調べたんだ。
で、吉村作治先生っていう早稲田大学の……
エジプト考古学の大御所ですよね。
はい、その方?がやってるアンダー18(歳)の、なんか、塾があって。そこでこういう感じで……
02〈吉村先生との写真〉だね。
あ、そこでいろいろ、馬場(匡浩)先生(エジプト考古学者)とか、そういう、いろんな方々の話を聞いたりして、勉強させていただいてます。
すごいなぁ。
あと、エジプト関係だと、モハメド・ガリーブ先生(ダンサー/タンヌーラの第一人者)っていう、その、タンヌーラって分かりますかね?
いや、分かんない。
回る、そういうなんか、伝統……ダンスみたいのがあるんですけど。その先生と知り合って、エジプトのタブラー、日本語だとダラブッカとか言ったりするんですけど、そういう太鼓があって、それを習わせていただいたりとか。それと同時に、なんか、エジプトの棒術とか、そういうのを習わせていただきました。
08〈エジプトの音楽と舞踏〉にタブラーが写ってるね。
えっと、これ(写真のタブラーを指さしながら)がたしか買ったやつで、これが、なんか、送ってきてくれたんですよ、ガリーブ先生が、タブラーを。送ってきてくれて、それで、それから持ってます。
踊りも習ってるの?
踊るほうはやんないんですけど、えっと、さっき、先ほど言った棒術っていうのが、なんか、現在では戦いを模したダンスみたいなかたちで、それを教えていただいたりとかしてます。
こういう話は学校の友達としたりする?
友達でこういうことをやってる人はあまりいない……
でも学校のみんなは、ルクソールMさんがエジプトや考古学に詳しいことは知ってる?
あ、はい、知ってるとは思います。
じゃあ、先生や大人たちと話すのかな。
とかですかね。
06 鋸山
01 世界史の先生
10 考古学だけでなくて理科もかなり好きです。
選べないぐらい全部好き
エジプトや考古学のことは、どんなふうに調べたり掘り下げたりするんですか?
なんでしょうね。えっと、そういうイベントの情報とかは、わりとお母さんが調べてきたりとかしてくれてて。あと、なんだろ、エジプト?の採掘とか、建築としての技術高いじゃないですか。そうした技術を研究してる柏木(裕之)先生でしたっけ?っていう先生がいて。(千葉県富津市の)鋸山に行って、で、こういう技術があるんですよって関連したふうに……
06〈鋸山〉の採石場に行ったときのことかな。
はい。そういうかたちで、どんどん、その、いろんな関連することとかを組み合わせてって、学んでるというかたちです。
01〈世界史の先生〉にも話を聞いたりしてるんだね。
その、代ゼミ(代々木ゼミナール)の?あの、(佐藤)幸夫先生っていう人がいるんですけど、世界史の先生で非常に詳しくて、昔から……
うん。有名な先生ですよね。
はい。っていうかたちで、そういういろんな場所の歴史とか、あの、(知識を)広げていったりとかしてます。
お母さんもこういうの好きなのかな。
や、そういうわけではないと……なんか僕が、けっこう趣味がマニアックで。そうすると、なんか弟が古生物とか、そういうのが好きで。けっこう僕もそれも好きで、なんでしょう、関連づけたりとか。自然科学も好きで、筑波大学とか、あとは東大に行ったりとかして、いろいろ聞いています。
いままでエジプトや考古学で経験したことで、一番心に残ってることはありますか?
一番は、なんでしょう、選べないぐらい全部好き。全部が一番で。
そっか、そっか。弟さんもよく一緒に写ってるみたいだけど、イベントや講義は家族みんなで行くの?
別々に行くこともありますけど、だいたい家族が一緒のことが多いと思います。
弟さんが好きな古生物関係のものは、ルクソールMさんも一緒に行くんですか?
はい、なんか、化石発掘とか、たまに行ったりして。
10〈考古学だけでなくて理科もかなり好きです。〉のことかな。
はい。えっと、化石発掘だと奥多摩のほうとか、そういった場所に行ったりとか。あと、サンショウウオとか探したりして。その、虫採りとかもしたりとか、こう、自然科学も大好きです。
だいたい週末に行く?
週末とか日曜日とか、ま、けっこう空いてるときに行ったりしてます。で、その、僕、やっぱ塾とかしてると、受験って大変じゃないですか。そのなかで心の友好とかがあると嬉しいと思うんですけど、それで最近バスケをやっていて。
17〈バスケ〉の写真だね。
これ、いまやめちゃったんですけど、ここのミニバス?に入ってた頃のもの(写真)で、いまはその、(横浜)ビー・コルセアーズ(横浜市をホームタウンとするプロバスケットボールチーム)のスクールに通っています。
へぇ~。バスケはいつからやってる?
4年生からですね。
バスケの楽しさは、なんですか?
バスケの楽しさは、その、チームプレーをするなかで、なんでしょうね、いかに自分をそのチームのなかで活かして、まぁ、相手を抜いて自分で決めれるかっていうこととか、相手にパスして相手の長所を活かして、それで勝利にもってくとか。
17 バスケ
16 国際平和スピーチコンテスト
考古学者になるために、留学とかができたらやりたいな
16〈国際平和スピーチコンテスト〉は、どんな写真ですか?
これは、えっと、こないだあった国際平和スピーチっていうので。学校で国語の授業で、あの、スピーチを書くと思うんですけど、それで(スピーチのテーマは)国際平和に関する、それか環境に関することであったり、紛争に関することであったり。僕の場合、紛争について、その、ガザについて話したんですけど。
うん、うん。
ガザの戦争で、その、僕、もともとアラビア語教室に通ってたんですけど、そのときに知り合いの友達が亡くなったのかな、かなんかで。それで、話を聞いて書こうと思って書いて、学校の代表になって、ここ(コンテスト)で話したという感じです。
アラビア語もやってたんだ。
あ、やってたんですよね。で、あと、幼稚園が■■(園名)っていう英語のとこで。けっこう、(海外)旅行とかにも行ったりします。
へぇ~。じゃあ英語もしゃべれる?
しゃべります。はい。
海外にも興味はあるのかな。
あります。えっと、なんだろ、ハワイによく行ったりとか、サンフランシスコに行ったりとか、タイとかシンガポールとか行ったりしてます。
いっぱい行ってるね!中東方面やエジプトはどう?
エジプトには行きたいんですけど、その、なんか、遠いですし。いったん受験終わってから、中学校で行きたいなって考えています。
中学校に入ってからはどんな勉強をしたいですか?
うんと、僕の場合、受験するとこはたぶん中高大一貫校なので、その、けっこうわりと、趣味のバスケとかもやりながら、考古学とか好きな自分の研究をしたりとかしていきたいと考えています。
なるほど。留学は興味ありますか?
まぁその、僕の夢は先ほど言ったとおりエジプトの考古学者なので、えっと、まぁ、そちらの研究をしたりとか。考古学者になるために、その、留学とかが、できたらやりたいなみたいなかたちです。
へぇ~。いま通ってる学校は外国にルーツをもつ児童も多いと思うんだけど、どう感じてる?
えっと、幼い頃から、その、他国の文化にふれ合ったりとかすることで、けっこう……大人になってくると、なんでしょう、幼い頃から経験しないとできないこととか、あのときやっとけばよかったって後悔する人とかも多いと思うんですけど、その、子どもの頃に理解しといたほうが、けっこう馴染みやすいというか。根づくんですよね、たぶん体に。そうしたときに、その、他国の文化とかを理解することで、子どもの頃に、自分とは住む環境とかいろいろ違った場所(の)ことも考えられたりとか、すると思います。
なるほど。他の学校とは少し違うよね。
えっと、この学校って一人ひとりが良くも悪くもけっこう違って、学力の差もあれば言語の差、文化の差もあると思うんですけど。そのなかでお互いを理解して、えっと、学び合ってっていうのは、その、文化に関しても勉強に関しても、教えることも勉強ですし、文化を学び合うことも勉強ですので、それを学ぶっていう意味では、けっこういいと思います、学校は。
04 ラムセス大王展
05 吉村作治教授の塾の第一期生です
どういうふうにいったら先生のようになれますか?
このなかで一番好きな写真はどれですか?
一番よかったのは、なんだろうな、どれだろう。でもけっこう、それ、吉村作治先生の写真とか、昔からやってる(タブラーの)ガリーブ先生の写真とか。ま、考古学系がいいですね、できたら。あとは河江(肖剰)先生とか、そのあたりです。
やっぱり先生たちは、憧れの存在って感じ?それとも、お友達というか、いろいろ教えてくれる存在?
どうだろ。ガリーブ先生は、なんだろうな、先生っていうイメージもあるんですけど、どちらかというと一緒に牛かつ食べにいったりとか……けっこう、なんでしょう、友達を超えて、家族並みにけっこう仲良くして……
へぇ~。
(田中)幸夫先生もけっこうなんか、幼い頃から話してて、なんでしょう、先生は先生なんですけど、まぁ親しいほうで。で、ま、この2人(吉村作治先生と河江肖剰先生)は、あと、憧れみたいな。で、いちおう認識(面識)もあって、けっこう親しくはしてます。
将来、大学で学ぶなら、どの先生がいい?
なんだろ、けっこう研究とかで教えていただくとかだったら、えっと、この2人の先生(吉村作治先生と河江肖剰先生)がよくて。(佐藤)幸夫先生は、けっこうまぁ、代ゼミで?有名なように、その、教えるのが得意なので、世界史とかそういう分野とか講義とかだったら幸夫先生がいいと思います。
いまも講義を受ける機会はあるのかな?
幸夫先生の講義は、なんか、YouTubeチャンネルをやってて、その関連で。その、ま、エジプトに住んでるらしいんですけど、なんか、帰国イベントみたいなかたちで講義を開くことがあって。今年の、その、イベントっていうのは、経済とかのそういう大きな動きとか、あと、最近問題なってきてる難民問題とかの話とかを聞きました。
スピーチコンテストでも紛争について話してたけど、世界の問題にも関心がある?
ま、ありますね。経済とか。この前、幸夫先生にヨーロッパの、なんだろ、ロシアとかそういうのとか、絡み具合というか、あの、EUに入ってどうするかとかNATOに入ってどうするかとか、そういう話を聞いたりしました。
すごい。興味が広がっているね。じゃあ一番自分らしいと思う写真はどれですか?
自分らしい、難しいですね。自分らしさ。マニアックなのでここ(02〈吉村先生との写真〉)、自分らしさだと。でもまぁ、趣味としての自分らしさだとこっち(17〈バスケ〉)になるのかな。
エジプト歴は何年になるんだっけ。
エジプト歴、年中からだから……8年とかそのぐらいなんですけど。
すごいね。このままさらに極めていく?
はい、ですね。大学とかでも、なんだろ、とりあえずは受かることが大事なんですけど、文学部に入るか、国際教養とか留学に行くかみたいな感じです。
いまから何か準備してることとかあるのかな。
準備してることだと、なんでしょう。その、中高大一貫校の説明会に行って、「どういうふうに進路をいったほうがいいですか?」とか。考古学の先生に会って、その、「どういうふうにいったら先生のようになれますか?」とか、そういう質問したりとか。あと、エジ研(早稲田大学エジプト⽂化研究会)とか、聞いたりとか。エジ研いったら、吉村作治先生とかの研究の手伝いできたりとか(するので関心がある)。
(聞き手:こども研究所/対面にて)
撮影写真一覧
01 世界史の先生
エジプトに興味をもった幼稚園の頃から話を聞きに行っている先生
02 吉村先生との写真
ちょっと前のものですが、吉村先生とお話しできて、写真も撮らせてもらったときのです。うれしかったです。馬場先生も尊敬する先生です。
03 エジプト考古学の河江先生
幼稚園の頃からお世話になっています。イベントで会えるとうれしいです。
04 ラムセス大王展
エジプト考古学者が夢だから色んな展覧会に行ってる
05 吉村作治教授の塾の第一期生です
尊敬する先生から直接授業を受けれるのがうれしいです。
06 鋸山
エジプトの石切を学ぶのに採石場に行きました。
07 考古学講義前の自習
普通の日の夜や土日にある講演に行きたいのですが、宿題も受験勉強もたまっているので、講演の前後の移動時間や待ち時間どこでも勉強してます。このときは憧れの早稲田で勉強できてケーキも食べれてうれしかった。
08 エジプトの音楽と舞踊
歴史だけじゃなくて文化も好きです。そこで出会う人たちも好きです。
09 ユネスコの人と国立天文台の見学
国立天文台にあるプラネタリウムに、ユネスコの人たちと見学に行った。科学の話が好きで博物館などによく行く。
10 考古学だけでなくて理科もかなり好きです。
筑波大の地質学クラブに行きました。
11 農工大の柿収穫
理科も社会も専門の先生の話を聞くのが好きです。実際に体験するのもいい。
12 オリエント博物館
ワークショップにはよく行くけど、本物の土器を出してもらえるとは思わなかった。
13 東大のオープンキャンパス
大学のイベントにもよく行く。実験とかをするのが楽しい。このときは東大生もまだなかった新記録を達成して嬉しかった。
14 東大の学食
ラーメンが好きです。ケーキも好きです。
15 毎週通ってたカハクのカレー
カハクはカレーとハヤシライスがおいしい。
16 国際平和スピーチコンテスト
日頃からひどいと思ってた戦争のことについて意見を言えてよかった。他の人がどう考えてるかも聞けてよかった。
17 バスケ
毎週バスケやってます。忙しくてもそれだけはやめたくないです。
18 ボーリング
スポーツが好きです。
19 卓球
卓球やテニスもやります。
インタビューをふりかえって(語り手本人の感想)
インタビューはどうでしたか?
自分では好きなことだけど人に話しててこんなことでいいのかなと思いながら話した。
「自分らしいな」と感じたことはありましたか?
いろんなことが好きだけどひとつひとつをもっと深いことまで話したいと感じたこと
「自分は意外とこうなんだな」と気づいたことはありましたか?
いろんなところに行ってる
インタビューをふりかえって(聞き手の感想)
“博士ちゃん”並みのエジプト考古学の知識と愛を語ってくれたルクソールMさん。小さい頃から第一級の先生たちと接する機会が多かったからか、まるで大人のような落ち着いた雰囲気と礼儀正しくやさしい語り口調、そして時おり見せるくったくのない笑顔が印象的でした。ガンダーラ美術からエジプト考古学に興味を持ち、伝統舞踊、アラビア語、建築、紛争問題などなど、興味の幅がどんどん広がっていて、まさにこれこそ“探究者”!ご家族がルクソールMさんの興味が広がるような種まきをしていて、しかもみんなでいっしょに楽しんでいる様子も伝わってきて、とてもステキな家族だなぁと感じました。これからもますますエジプト考古学の道を究めていってくださいね!
(こども研究所 研究員K)
インタビューを読んで(ご家族の視点)
「この子らしいな」と感じたことはありましたか?
いろんなことに興味をもっていること
意外だった/知らなかったことはありましたか?
将来のことを結構現実的に考えて夢をとらえていること
その他に気づいたことなどはありましたか?
幼稚園児のころから変わらない夢をもっているので一筋縄ではないなとは思ってましたが、大学のことなども現実的に考え本気で考古学者になる気でいるのだなと少し驚いた
(ルクソールMさんとの関係:母)
インタビューを読んで(第三者の視点)
「いいな」と思ったことを掘り下げて調べ、さらにそれをよく知る大人に会いに行く姿勢が本当に素晴らしいと感じました。
自分で知識を広げていく力は、これからどんな道に進んでも大きな支えになると思います。
そして受験勉強で忙しい中でも、心の交流を大切にしながらバスケを続けている点も印象的でした。
特に「バスケの楽しさは何ですか?」への回答は、社会人歴が20年くらいあるような堂々とした言葉でプロ感がありました。
幼い頃から多文化の中で生き抜く術や他者への想像力を自然に身につけていて、そんなバランスの良さもルクソールMさんの魅力です。
考古学者になることを目指しているとのことですが、何にでもなれる素養を持っていて、心から羨ましいです。
(福井県、40代、ウェブマーケター/ボディワーカー、すい)
あなたも小・中学生への応援コメントを書いてみませんか?
このインタビューを読んで、共感したこと、いいなと思ったこと、応援したいことなど、あなたがこの子の語りや写真に対して感じたポジティブな気持ちを、応援コメントとして下記フォームからお寄せください。